介護でつながる輪

介護とお金シリーズ:相続編その1 介護と相続トラブル

  • コレカさん (神奈川県在住)
  • ファイナンシャル・プランナー

昨年、介護でつながる輪では、「介護とお金シリーズ」と題して、介護サービスにかかるお金について、介護費を安く抑える制度から、介護費に備える民間介護保険、また認知症になった場合の財産の管理などご紹介してきました。みなさまからの、もっと介護とお金について知りたい!という反響の声にお応えして、「介護とお金シリーズ 相続編」を3回にわたりお伝えしていきます。

介護のずっと先にある相続ですが、先延ばしにしておくと後から様々な問題が出てくるようです。早いうちから知って準備をしておくことでトラブルを防げる方法を、今回も引き続きファイナンシャル・プランナーのコレカさんに、お伝えいただきます。

〇介護の貢献度は、相続には考慮されない?

近年、相続をめぐって親族間でのトラブルが増えています。相続争いというと富裕層の話かと思いがちですが、けっして財産が多い人だけの問題ではありません。〝気持ちの問題〟ですので、遺産の金額が少なくても争いになりえるのです。特に、複数の子のうち、一人の子が介護を担っていた場合など、相続の財産分けでどの程度を考慮すべきかは、難しい問題です。実は、遺産の分割において〝介護の貢献〟があまり考慮されない傾向があるからです。

相続財産を遺族で分ける割合は、相続人の話し合いで自由に決めることができます。子供たちは均等に、という法律の定めは、あくまで目安です。親族でまとまらない場合は、家庭裁判所で決めてもらうこともできます。この場合も、必ずしも子供たちは均等となるわけではなく、家庭の事情を考慮してくれます。すでに亡くなった親から「特別の利益」をもらっていた子供はその分を差し引いて考えなければいけませんし、親に対して「特別の貢献」をした子供は、その分多くもらえて当然です。

ところが親の介護をずっとしてきたという貢献は、「特別の貢献」とはみなされず、相続の割合にも考慮されないことが多いのが現状です。子どもが親の介護をするのは当然のこととの考えが、まだあるからです。

もちろん、個別のケースでの判断になりますので、介護の貢献が相続に反映されるかどうかは、一概には言えません。介護をしている子供は、親の自宅に同居していることが多いのですが、それによって住居費や生活費の面で恩恵を受けているということもあるでしょう。それだけに、介護の貢献をどの程度考慮するかは難しいところです。

〇介護を担った「息子の妻」への相続は?

通常、亡くなった人の財産を相続する相続人は、亡くなった人の配偶者や子供です。たとえば息子の妻が介護をしていた場合、息子は遺産を相続しますが、息子の妻は財産を相続することはできません。夫が相続することで、間接的には遺産を受けることにはなりますが、直接本人が受け取るわけではありません。

夫が先に亡くなっていた場合などは、まったく遺産を受け取れない、ということになるのです。その結果、義理の親の介護のために同居していた息子の妻が、遺産を全く受け取れず、実の子供たちに追い出されるという事態にもなってしまいます。

そこで政府は法律を改正して、亡くなった人の介護をしてきた、〝子供の配偶者<息子の妻>〟も遺産の一部を受け取れるようにしようと検討しています。ただ、息子の妻などが相続人になるわけではなく、相続人である子供たちに対して、金銭の請求をできるようになります。どのくらいの金額を請求できるのかまでは法律に明記されるわけではなく、当事者間の協議で決めることになります。しかし、協議でまとまらない場合は、家庭裁判所に決めてもらうことになります。

すでに夫(亡くなった人の子供)が先に亡くなっている場合は、相続の際に他の子供からお金をもらうことになります。夫がいる場合でも、夫を含めた子供たちに請求することで、自分自身の財産を確保することができるようになります。まだ検討段階ですので、これから国会で審議されますが、順調にいけば、今年中にも制度が改正される予定です。

※法律改正は、あくまでも予定です。(平成30年4月現在)

〇親族間トラブルを防ぐために事前の対策を

ただ、介護を担ってきた子供の配偶者に金銭の請求権が与えられるとはいっても、実際にどの程度の金額を請求できるのかは難しいところです。他の子供たちがわかってくれて、遺産分割の協議で配慮してくれればよいのですが、調停などになると、不利になってしまう傾向があるのはいなめません。介護の苦労は、それを担ってきた人でないと、なかなか理解できないかもしれません。ましてや、その苦労を金額で表すのは難しいことでしょう。

それだけに、介護をする立場の人は、相続が発生して(介護の対象者が亡くなって)からではなく、事前に対策を考えておく必要がありそうです。親を含めた家族で話し合い、遺言書を作成したり、信託を活用するなどの対策を取っておくと、相続が発生してからの親族間のトラブルを防ぐことができます。

介護の先に、親族間でトラブル起きるのはとても悲しいことです。そういったトラブルを未然に防ぐ方法や事例を、次回からご紹介していきます。

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