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介護と社会問題を考えようシリーズ② 遠距離介護?それともUターン?

  • ハルコウさん (東京都在住)
  • 少子高齢社会ライター

今の日本社会は3人の現役世代で1人の高齢者をみる、という「騎馬戦型」ですが、2050年には現役世代1人につき1人の高齢者を支える「肩車社会」が訪れることを、政府は予測しています。未婚者や一人っ子も増え、肩車社会で「地元に残った兄弟が親をみてくれる…」といった介護分担は成り立ちません。現役世代が離れて暮らす親を介護する「遠距離介護」の数はこれからもっと増えそうです。

◆遠距離介護はもはや必須

自分の親も配偶者の親も「電車などで2時間程度」以上の「遠距離」に住んでいる人は約3割
一般社団法人シルバーサービス振興会が2014年に行った調査で、こんな結果が出ました。これは、親と同居していると答えた人の割合とほぼ同じです。また、厚労省の調査でも、世帯主が65歳以上の単独世帯及び夫婦のみ世帯数の推計は2010年で20%だったのが、2035年には28%にまで右肩上がりが予想されています。これからの日本社会で、高齢者のみで暮らす世帯はごく一般的になるでしょう。
さらに、日本創成会議が全国の自治体の半分が「消滅可能性」にあると推計し話題になりましたが、それほど地方は過疎化が進んでいます。過疎の土地には仕事がありませんから、若者はどんどん地元を離れます。こうして遠距離介護が生まれているのです。これはもはや、少子高齢社会の必然といえるでしょう。

◆地域サービスに希望

「一人っ子でワーキングマザー、子供は小さいのに親は遠方。介護をどうすればいいのか」
インターネット上には、遠距離介護に悩む現役世代の声があふれています。ただ、介護は何も付きっ切りでそばにいることだけを指すわけではありません。
育児介護休業法で定める介護休業93日は、介護の準備に充てる休暇だと前回もご紹介しましたが、親の介護でまずやるべきは、介護認定の申請やケアマネジャーとのケアプラン作成など、サポート体制を整えることです。
遠距離介護が社会問題となる今だからこそ、地域や民間のサービスも多様化しています。以下のポイントは押さえておいた方がよさそうです。

帰省の際の親の様子…体重の急激な変化や掃除の状況、冷蔵庫の中など、会わなければ分からないことをチェック。認知症も生活習慣病も早期発見が肝心。

親の居住地の地域サービス…自治体の高齢者や福祉の窓口に問い合わせ、親の住むエリアの「地域包括支援センター」を確認。ホームページをチェックして、相談窓口の連絡先や自治体のサービスを知っておく。

民間企業の見守りサービス…警備会社が緊急時に駆けつけてくれるアルソック「HOMEALSOKみまもりサポート」、セコム「マイドクタープラス」、家電製品の使用状況から生活状態をデータ化する象印マホービン「みまもりほっとライン」など、サービスも様々。

食事宅配サービスワタミの宅食、セブン・イレブンの「セブンミール」など、日々の食事の宅配は安否確認にも。

「離れて暮らす親の支援や介護をおこなう子世代の情報交換の場」として20年の活動の歴史があるNPO法人パオッコのデジタル冊子【遠距離介護 行動の3つの柱】はすぐに役立つ情報が満載です。

◆介護Uターンという選択肢

親の介護をきっかけに、故郷へ帰るという選択肢も、もちろんあります。これがいわゆる「Uターン介護」です。この選択の最大の課題が仕事です。
年金や親の資産は親の介護に充てることを前提に、続けられる仕事をまずは確保する必要があるでしょう。さらに、家族の生活が激変することになるUターンは、配偶者や家族の理解も必須です。

ただ、インターネットの普及により、職種によっては本社と離れた場所で働くテレワークが可能なこともあります。また、地方自治体によっては、就職や住居のあっせんや、医療費無料や保育園量無料の子育て支援など、移住者向けサービスに力を入れているケースも多々あります(日本移住・交流ナビJOIN)。

さらに、昨年から3世帯同居のためのエコ住宅を建てると最大約200万円という補助金制度や、リフォーム費用の一部を所得税から控除できる制度も始まりました。
介護Uターンがよぎったのなら、まずは親の住む地域のこうしたサービスを調べてみるのがよさそうです。

遠距離に住む親の介護は、離れてするにしても、いっそUターンするにしても、家族以外のサポートを頼りに進めることが大前提の時代なのです。

次回はもはや、家族だけの問題ではない「実家の片づけ問題」をお届けします。

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