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介護と社会問題を考えようシリーズ③ 頭の痛い、実家の片づけ問題

  • ハルコウさん (東京都在住)
  • 少子高齢社会ライター

地域で問題となっているゴミ屋敷に行政が強制撤去を行う様子や、増え続ける空き家問題を報道などで目にされたことはありませんか。他人事のように思えるこうした事態も、背景をひも解いていくと認知症が背景にあるなど「介護問題」が浮かび上がってきます。ゴミ屋敷騒動とまではいかなくても、実家の片づけは親の老後を迎えるにあたり、介護とセットで考えておく必要がありそうです。

◆ゴミ屋敷問題の背景に認知症

「ゴミ屋敷に認知症の夫婦が残され、何カ月も入浴も食事もしていないネグレクト(介護放棄)状態。40代の無職息子は借金を抱え、夫婦の年金を使い込んでいた―」2015年4月に朝日新聞が報じた老々介護の顛末は、衝撃を呼びました。

行政が条例に基づいてゴミ屋敷を撤去するニュースはたびたび報じられますが、その影にはこのように認知症が潜んでいることが多いようです。

認知症はさまざまの判断能力が衰え、自力で生活を回すことが困難になります。一人暮らしの親の家を訪ね、これまでになくモノがあふれかえっているようであれば、認知症を疑ってみる必要がありそうです。認知症の「収集癖」でモノをため込んでいたり、ゴミの日が分からなくなっていたりということもあります。早めに気づくことで、専門の医師にかかる、最寄りの地域包括支援センターに相談するなど、対策をとることができるでしょう。

◆アタマの痛い片付け問題

「手が付けられなくなる前に実家を片付けておきたい」のは、やまやまです。しかし離れて暮らす子供が手をつけるのは、時に親との衝突を生むこともあります。スムーズに進めるコツはあるのでしょうか。
ここでは①親の気持ちに寄り添ってみる②貴重品の置き場所決めるーについて考えてみましょう。

①親の気持ちに寄り添ってみる
そもそもなぜ、実家の片づけは反発を招きがちなのでしょう。実は実家の片づけが社会問題化したのは、最近のことと言われています。平成27年版高齢社会白書によると、65歳以上の高齢者の子どもとの同居率は、1980年に約7割だったのが、2012年に4割と、この30年間で大幅に減少。一方、一人暮らしまたは夫婦のみ世帯は、1980年に3割弱が、2013年には5割強へと急増しています。つまり、現代で介護が必要とする年代の親たちは「実家の片づけ」を経験していない人が多いのです。
また、モノのあふれる時代に育った子世代とは違い、「モノは豊かさの象徴」という価値観の世代でもあります。
別居の子供がずかずかやってきて、どんどん捨てたり片付けたりを始めると、「もったいない」「放っておいて」と衝突してしまうのも、無理もないかもしれません。

②貴重品の置き場所は
片付けで困るのは「大事なものがどこにあるか分からない」です。帰省した時など、以下について「急ぎの時に取り出しやすいように」と親に確認してみましょう。「そのためにも片付けておこうか」と話を持っていくと、受け入れてもらいやすいかもしれません。
 
身分証明…運転免許証、健康保険証、パスポート
お金のこと…預金通帳、実印、保険証券、有価証券
貴重品…貴金属類、携帯電話、パソコン…など
 
上記について心に留めつつ、あくまで「実家の片づけの主役は住んでいる本人」という気持ちを忘れずに、進めていきたいですね。いきなり捨てるのは抵抗されても「移動」させることで片づき始めれば、親も気持ちのよさを実感してくれるかもしれません。

◆介護と空き家問題

実家の片づけで最終的な問題は「誰が実家を引き継ぐか」です。2033年には3軒に1軒が空き家・・・。そんな調査を野村総研が発表しました。核家族化が進み、親の施設入居や住み替え、死去などで実家の対処に困るのは珍しい話ではなくなりました。人口減少社会で、古い家屋がそのまま売れることはほとんどありません。立地条件が悪かったり、老々介護で解体・リフォーム費用の捻出も厳しかったりを理由に売却が進まず、放置されて空き家と化すケースが後を絶たないのです。
しかし「放置」は問題も山積みです。自治体により「特定空き家」に認定されると固定資産税が高額になり、負担も重くなります。

どのように実家の片づけを切り出すのか。先々は実家に住んだり貸したりするのか、それとも売却するのか。それぞれにかかるコストや問題点はー。
 介護問題と切っても切れない「実家の片づけ問題」。介護問題同様、情報収集をしっかり行い、親が元気なうちから手を打つことが肝心といえそうです。

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