介護でつながる輪

介護とお金シリーズ(3)介護費用の負担、軽くできませんか?

  • コレカさん (神奈川県在住)
  • ファイナンシャル・プランナー

「料金がいきなり2倍になるなんてひどすぎませんか?」

工藤さんは地方に住むお父様の遠距離介護をしていますが、
介護保険サービスの利用料が8月以降上がったのに、驚いています。
国の財政が厳しいのもわかるけど、いきなり〝2倍〟になるのには納得がいきません。

〇介護保険サービスの利用料が2倍、3倍に?

65歳以上の人は、介護の程度に応じた利用枠の範囲内で
介護保険サービスを、原則〝1割負担〟で利用できます。
例えば、要介護3の人がデイサービスで6時間過ごした場合、
施設の規模にもよりますが、7,800円程度の料金となります。
その際に利用者が支払うのは、1割の780円です。

以前は誰もが1割負担でしたが、平成27年8月より、
一定以上の所得がある人は〝2割負担〟となりました。
合計所得金額が160万円以上の人が対象です。
ただし、「年金収入とその他の合計所得金額」が単身で280万円、
2人以上世帯で346万円未満の場合は1割負担です。
(所得とは、収入から必要経費を差し引いた金額です。
年金が330万円未満の人は120万円を差し引きます。)

「1割負担が2割負担になった」と聞くと、
それほどの影響はないように感じます。
しかし、利用している立場からすると、
今まで780円で利用できたものが、急に1,560円になるわけです。
収入が比較的多い人が対象ではありますが、
それでも料金が2倍になると言われれば驚きます。

さらに平成30年8月には、
合計所得金額が220万円以上で、年収が一定額以上の人は、
3割負担に引き上げられることが決まっています。
利用料が3年で3倍にもなれば、収入が多い人でもさすがにこたえるでしょう。

要介護5の人が、利用枠いっぱいまでサービスを利用すると、
1か月の自己負担額はおおむね36,000円です。
それが2倍になると72,000円、3倍になれば108,000円です。
これが毎月続くとなると、負担は小さくありません。

〇利用者の負担を抑える「高額介護サービス費」制度

そこで介護保険には、利用者の負担が大きくなりすぎないようにする
仕組みが設けられています。その1つが「高額介護サービス費」です。
同じ月に利用した介護保険の自己負担が一定額を超えると、
後から戻ってくるという制度です。

通常、高額介護サービス費の対象となるサービスを利用した場合、
お住まいの市区町村から「高額介護サービス費」申請のお知らせが届きます。
一度申請の手続きをすると、次回以降は特に手続きをしなくても、
一定額を超えた分が戻ってくるようになりますので、必ず申請を行いましょう。
(一定額は世帯の収入状況によって異なります。)
これによって、2割負担であっても、
1か月の負担の上限は44,400円となっています。
2割負担の人では、この制度の対象となる人が少なくありません。

高額介護サービス費

参考:厚生労働省 高額介護サービス費の見直しに関するリーフレット(PDF)

 

高齢者は、医療費の負担も小さくありません。
医療費についても自己負担が一定額までに抑えられる高額療養費があります。
そして1年間を通して、介護費・医療費の自己負担が一定額を超えた場合には、
高額介護合算療養費により支給があります。
いずれも、まずは申請をしていないと支給を受けられませんので、注意が必要です。

※対象となるサービスなど、詳しい制度の概要や申請は、
お住まいの市区町村のお問い合わせ窓口にご相談ください。

〇介護の負担を軽くするいろいろな制度

その他にも介護でかかる負担を軽くする制度には、いろいろなものがあります。
介護している場合に限りませんが、所得税には、扶養控除があります。
70歳以上の親を扶養していれば、所得を48万円(同居の場合は58万円)
少なく計算できます。それによって所得税が少なくなります。
住民税は38万円(同居の場合は45万円)、所得を少なく計算します。

自治体独自の行政サービスも確認しておきたいところです。
紙おむつの購入や配食サービスの利用は、介護保険サービスの対象ではありません。
しかし、独自に補助をしている市区町村は少なくありません。
自治体によって制度も金額もまちまちですので、
お住いの市区町村で利用できるものがないか調べてみましょう。
遠距離介護の場合は、インターネットで市区町村のサイトを
見ることから始めてみましょう。

介護休業と介護休暇は、仕事との両立のために欠かせない制度です。
介護休業は、93日まで介護のための休業を取得することができる制度です。
介護休暇は、年5日まで半日単位で取得できます。
介護のために短時間勤務や残業の免除を請求できる制度もあり、
うまく活用して、介護離職を乗り越えたいものです。

民間企業でも、介護を支援するサービスを展開していることがあります。
その代表的な例が航空運賃の介護割引です。各社で条件は異なりますが、
遠距離介護で頻繁に飛行機を使う人は調べてみるとよいでしょう。

冒頭の工藤さんは、お父様の年金収入が多く、
介護サービス費の自己負担割合が1割から2割に引き上げられたため、
利用料が〝2倍〟になってしまったのでした。
ただ、「高額介護サービス費」の申請をしていなかったので、
これからはある程度費用を抑えられそうです。
今後は、介護休暇も利用して、できるだけ実家の様子を見に行くつもりです。
その際の航空券は、早期購入割引が利用できない時には介護割引を利用して、
帰省費用も抑えるつもりです。

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